“ 新しい活用性 ”
18AWより本格的始動となったAFFIX。
ブランドと呼称せず、「 AFFIXプロジェクト 」 としてご紹介させて頂きます。
AFFIXは、「 新しい活用性 」 をコンセプトに掲げ、従来のワークウエア ( 作業着 ) の理想的な形を追求し、日常着としての実用性と進化を融合させる考えを基軸としています。
AFFIXは、Kiko Kostadinov、Taro Ray、Stephen Mann、Michael Kopelmanの計4名のメンバーで構成されているプロジェクトです。
<プロジェクトメンバー4名について>
[2019SS 00062019コレクション]
[2018AW 00052018コレクション]
[2018SS 00042018コレクション]
[2017AW 00032017コレクション]
■Kiko Kostadinov
Kiko Kostadinovはブルガリア出身、ロンドンをベースに活躍するデザイナーです。セントラル・セント・マーチンスBA ( 学位課程 ) にてメンズウエアデザイン、MA ( 修士課程 ) にてファッションデザインを学び、同校を2016年に卒業。
2016年6月LONDON FASHION WEEK期間中、セントラル・セント・マーチンスのMA卒業ショーにおいて自身の名を冠したコレクションを発表。New Gen Menを学生として初めて受賞したメンズウエアデザイナーとなり、ブリティッシュファッションカウンシルは卒業を機にKiko Kostadinovをサポートしました。
2017AWシーズンよりMACKINTOSHのクリエーティブディレクターに就任し2017年1月のPARIS FASHION WEEKにてデザイナーズレンジであるMACKINTOSH 0001を発表しています。同年、Forbes誌にて 「 30 Under 30 Europe 2017 」 のアートカテゴリーとして選出されました。※30アンダー30は、30歳未満の起業家や各分野の若きリーダー、イノベーターらを選出するものです。
KIKO KOSTADINOVブランドの特徴は、以前から存在しこれから先も存在するであろうユニフォームのファンクションという部分に着目し、彼独自のパターンワーク ( ※パターンはデザイナー自身によるものです ) 、そして人が服を纏った時に生まれる空間を機能を考えながらデザインとして成立可能なようにディテールをいかにして作り出すかを模索し、空間にデザインの可能性を見出している点です。前述致しましたパターンは研究とも言えるレベルで行うそうです。あるシーズンにおいては15回以上も作り直したブルゾンなどもございます。さらに自身で行うパターンに加え、Vivienne Westwoodの初期のパターンを手掛けパターン一筋で生き抜いてきた職人を起用する事もあり温故知新の英国気質を感じられる点も魅力です。機能のみに特化した素材を主として用いるアウトドアフィールド向けのウエアとは異なり現代的な素材を用いエレガントに仕上げている点もポイントです。
これらの事は過去・現在・未来 ( PAST NOW FUTURE ) という時間軸において、自身が考える新しいユニフォームが未来の定番となっているようなタイムレスなものを作製していきたいという想いの表れでもあります。時代に迎合せずに、自身が 「 表現したい事・やりたい事 」 を利害関係を優先する事無くピュアに表現している人物です。
※補足と致しまして、KIKO KOSTADINOVという名を一躍広めるきっかけの一つとなったSTUSSYとのカプセルコレクションについては下記をご覧下さい。
セントラル・セント・マーチンス在学中に自身でリメイクを施したSTUSSYとのカプセルコレクションを発表。本カプセルコレクションは、元々2013年にNICK KNIGHTが主催するSHOWstudioからスタイリストであるStephen Mannの元にSTUSSYのロゴを用いて何か出来ないか? という依頼が入り、それに対し当時Stephen MannのスタイリストアシスタントをしていたKiko Kostadinovがリメイクを製作。それがSTUSSY UKのMichael Kopelmanの目に留まり、その後正式にSTUSSYからオファーを受けた事実がございます。従って、STUSSYとのカプセルコレクションは二回発表しています。
■Taro Ray
セントラル・セント・マーチンス卒業。KIKO KOSTADINOVのコレクションにおけるヴィジュアルやグラフィックデザイン、インヴィテーションデザイン等に加え、MACKINTOSHのデザイナーズレンジであるMACKINTOSH 0001 - 0004においてデザイナーとしても関わっています。
■Stephen Mann
スタイリストでありブランドコンサルタントも行っています。Stephen Mannは学生時代のKiko Kostadinovを自身のアシスタントとして起用した事もございます。KIKO KOSTADINOVや、MACKINTOSHのデザイナーズレンジでありKiko KostadinovやTaro RayがチームとしてデザインしているMACKINTOSH 0001 - 0004コレクションのLOOKのスタイリングも担当しています。また、メゾンブランドMISSONIのスタイリング・メンズディレクションなども11AWより行っています ( Stephen Mannが就任してからショーのBGMはGimmie5のMichael Kopelmanが担当 ) 。その他、気鋭デザイナーAITOR THROUP ( アイター スロープ ) STUDIOのコンサルタントも務めていました。
■Michael Kopelman
1989年に自身が設立したGimmie5の代表でありSTUSSY UKの中心人物。そして本プロジェクトAFFIXのビジネスマネージメント担当です。Gimmie5は90年代よりロンドンのストリートファッションにおいて外すことの出来ない組織です。また、Michael Kopelmanは英国にSTUSSYをはじめとする世界各国のストリートブランドを広めた立役者でもあります。更にNY発のインターネットラジオ " KNOWWAVE " でDJとしても出演しています。DJとしては過去に、UKの伝説的音楽レーベルMo Waxレコードの設立者の一人であるFraser Cookeと共にBrian clubの専属DJとして活躍していました。さらにストリートアートシーンにおいては90年代後半にブライアン・ドネリー ( 後のアーティストネーム:KAWS ) を発掘しi-D MAGAZINEに紹介するなど多方面で先見の明を発揮。元々Gimmie5に在籍し、クリスチャン ディオールのメンズダイレクターを務めるKIM JONESが現在進行形で行っているラグジュアリーストリートと呼ばれるシーンを形成するクリエーションは、Michael Kopelmanからの影響を大いに感じ取る事が出来るのではないでしょうか。
[ AFFIXのビジネスマネージメント担当であるMichael Kopelmanの貴重なインタビュー映像 ]
以上がAFFIXのプロジェクトメンバーの詳細です。
そして、下記はAFFIXプロジェクトのPRビジュアルです。
時代に迎合せず製作されている同プロジェクトのウエアも勿論ですが、AFFIXのイメージを発信する為のビジュアルからは現代のファッションビジネスに縛られていない何か新しい視点を感じませんでしょうか。それはモデルに新作アイテムを着用させ華やかに魅せる方法とは全く異なります。
自分たちが興味のあるものや好きな事をピュアに表現しているようなその様は、まるで自分たちが着たいものをD.I.Y.的アプローチで小さなスケールにて作製していたストリートウエアやストリートブランドの誕生の時の様にも感じませんか。
ストリートウエアやストリートブランドの誕生に関して補足的にご説明致します。
[ 社会人類学者であるTed Polhemusの著書 " STREET STYLE " のローンチ映像 ]
テッド ポレマス著書のSTREET STYLEで詳細が記載されているように、1940年代から現在に至るまでストリートファッションスタイル自体は遥か昔から存在しております。
40s ズーティー
50s テディー・ボーイ
60s モッズ、ロッカーズ、ルードボーイ
70s前半 ファンク、グラムロック
70s後半~ パンク、ヒップホップ
80s スキンズ、ゴス
90s レイブ、サイバーパンク
しかしながら、ストリートブランド・ストリートウエアの歴史という点で言えば80~90年代のムーヴメントやカルチャーシーンに付随して、近年生まれてきたものでした。
誕生当時から30年以上経過した今日ではストリートブランドがますます勢いを増し、モードブランドやメゾンブランドとのコラボレーションが頻繁に登場しファッション的クロスオーバーが発生。本来フリンジストリームであったストリートウエアがメインストリームに躍り出てきています。テッドポレマスの言葉を借りれば、かつてはハイブランドのデザイナーによるコレクションを大衆ブランドが参考にし商品として市場に登場させ消費させていく流れが逆転。ストリートブランドがメゾンブランドを真似る流れではなく、メゾンブランドがストリートブランドを真似るバブルアップという現象が頻繁におきています。
かつての出発点は、自分たちが着たい物をD.I.Y.的アプローチで小さなスケールにて作製していたストリートウエアやストリートブランド。メインストリームを陰ながら支えてきた役割のストリートブランドが主役となり時代を動かしている現状において、ビジネスチャンスと見て作られたフェイクな存在も増えてくる中では、インディペンデント且つリアルな物、表現したい事や好きな事を純粋にクリエーションしているブランドやプロジェクトをチョイスする必要性はあるのではないでしょうか。
ストリートブランド誕生以降のストリートシーンで、常にキーパーソンであったMichael Kopelmanが世界的に注目を集めるKiko Kostadinovを初め、Stephen MannやTaro Rayと共に本格的にスタートしたプロジェクトは、フェイクが蔓延る現代だからこそ取り入れる意味のあるものとしてお薦め致します。今後も大いに期待したいプロジェクトです。