TIGRAN AVETISYAN FOR ELIMINATOR
15.10.2020

ELIMINATOR 20th ANNIVERSARY SPECIAL ITEM #04
" TIGRAN AVETISYAN×ELIMINATOR Collaboration Items "

2020年はELIMINATOR発足20周年という記念すべき年でありアニバーサリーイヤーに相応しい特別な商品をリリースして参ります。2020年の一年を通して今後も様々なブランドとの企画を進行しておりますのでご期待ください。

20thアニバーサリーアイテムとしては、
第1弾 [ UMBRO×PETER DE POTTER×ELIMINATORのトラックジャケット ]
第2弾 [ 国内セレクトショップとしてはELIMINATOR限定となるARC'TERYX VEILANCEのGORE-TEX with SHAKEDRY™ CAP ]
第3弾 [ BAGJACKのELIMINATORスペシャルバージョンアイテム7種 ] に続き、
第4弾目となるのはTIGRAN AVETISYAN×ELIMINATORのコラボレーションアイテム ( ハンドペイントコート&TEEシャツ ) です。

[ ELIMINATOR20周年記念コート製作風景動画 ]

[ 本コラボレートに関するTIGRAN AVETISYAN本人によるテーマの解説 ]

The end of " The End of History "
TIGRAN AVETISYAN FROM MOSCOW

こんにちは。 私はTIGRAN AVETISYANのデザイナーのティグランです

モスクワのアパートからこのメッセージを録画しています

ELIMINATOR 20周年のために作ったアイテムについて説明を求められたのでお話したいと思います

まず初めに、私は作品に対して人それぞれ異なる解釈をした方が面白いと信じているし、みなさんとこの考えを共有したいと思っています

私は作品において、たった一つの解釈が絶対に正しいという押し付けをするつもりはありません

それを考慮した上でですが

今回のコレクションのテーマは The End of History(歴史の終わり)です

このフレーズは私が興味深いと思っている哲学的概念から引用しました

その考え方では社会の発展は本質的には並行したままです

これについては一意見、批判的代案、より高次でハイレベルな改良案がありますが

例えば、政治では常に二つの違うイデオロギーが優劣を競い合い

必然的に「 より優秀なもの 」が支配します

そうやって歴史は発展してきました

そして、自由民主主義が最終的に支配するだろう、と長い間議論されてきました

私たちの人生の中で最近の情勢を振り返った時、現実はその理論とは全く違うことが証明されています

現在の世界的危機によって様々な真実が暴かれています

我々の政府、信仰、ライフスタイルが、いかに重要でないかです

私たちには変化が必要です

幸いにも、この問題に関して世界中のどの人にもぴったり合うようなフリーサイズの答えはありません

まるで我々が今のような状態で生き続けるのは不可能だ、と地球が私たちに教えているようです

グローバリズムは私たちの人生を全て 「 等しく同じ 」 にしてしまいました

どれも同じようにつまらないという意味です

私は世界が再びまた 「 大きく 」 なるように

そして、一人一人の違いをなくすのではなく、それぞれが尊重しあえる超社会になれるよう願っています

我々が自分たちのルーツに戻り

昨今の情勢が The End of History ( 歴史の終わり ) に

終わりをもたらす事を願っています

ELIMINATOR 20th Anniversary Special 2020
WORLD IS FLAT AGAIN
WITH LOVE

ELIMINATORとTIGRAN AVETISYANとのコラボレートハンドペイントコートは16AWシーズンからスタートし毎回デザインをアップデートしながら製作し続けています。TIGRAN自身によるハンドペイントの別注は世界でELIMINATORのみです。

前身頃左胸には 「 XX 」 をハンドペイント。
「 X 」 はTIGRAN AVETISYANがよく用いる記号ですが、これは単に柄ではなくイデオロギーやイメージに捕われ過ぎて何の疑問も持たず、日々の出来事や存在している事さえもただただ当たり前のように受け入れてしまう事に対する危険性を危惧し、警鐘を鳴らす想いでメッセージを可視化したものです。現状を単に批判したり嘆いたりする事は簡単です。TIGRANはそこで終わらせず、危険な状態である事に気付いて欲しいそして明るい未来となれるように皆で意識を変化させていきましょうという前向きなメッセージを込めています。またELIMINATOR20周年記念アイテムである為、ローマ数字の20=XXの意味合いもございます。

後身頃には本コラボレーションのテーマである 「 THE END OF HISTORY 」 をハンドペイントで施しています。

織りネームはこのように長く文章が付いております。これはTIGRAN AVETISYANのメッセージです。下記に和訳を記載致します。

これは革命でも進化でもありません。 私たちがこれから語ることは、以前から私たちの目の前にありました。もちろんこれらの事柄に目新しいことは何もありません。

それでも現在皆がどのように見ているのか、どのように見られたいのかを問題としています。しかし、私たちは他の誰かになることを望んではいません。 私たちは純粋により良い人になりたいだけです。

実直さとは私たちにとって悪魔払いのようなものです。 最初のステップとして私たちは誤解し、嘘をついていたことを認めましょう。

美しさ以外に真実はないという人がいます。しかし、敢えて私はあなたに言います。美の考えは進化のみを歓迎し衰退することを非難します。そろそろファンタジーの世界への6ヶ月の旅行を終了する必要があります。年2回の気まぐれを創造的な意志に帰する余裕は私たちにはありません。

そして同時にデザイナーは、配置したすべてのディテールに根拠を与える必要があります。

ファッションが前進するためには、時間の並行性を受け入れる必要があります。 「今」よりも遠くを見る必要があります。
あまりにも長い間、私たちは無意味なシーズン毎の弁証法に多くの資源と労力を浪費してきました。全てはスタンダードモードなクリエーションの中で説明することが出来ます。

限られた人々へのリミテッドエディションというリリーススタイルを用いることで、私たちが取る方法論は包括的であり実験を恐れないものとします。
私たちはシーズン毎に新たなアイテムをリリースするのではなく、継続的な開発を目指しています。ストーリーの中では、矛盾、外的な要素による影響、そしてそれに伴う予期しない結果さえも歓迎します。

簡潔であることに理由はありません。しかし、様々な手段を最大限活用することでもたらす最大の可能性を感じて頂くことを求めます。すべての事柄には言及する価値があります。最も美しいものから最も醜いものまで。
人生はこの世に存在する最大のクローゼットよりもはるかに大きいのです。

ほつれた縫い目と未完成の裾は、我々にとって日常にありえる事柄の範囲内です。
何でも自由に身につけられるということは知的自由を意味するものではありません。同時に服が簡単に商品化され、便利である必要はないと言っている訳でもありません。
私たちは人間とは深く、挑発的で、超越的である可能性を秘めていると言いたいのです。したがって、私たちは物質性に反対するのではなく、精神面での異議を唱えていきたいと思っています。

これらのアイディアが固まるのは、我々の皮膚感覚だけであると私たちは信じています。
最終的には、趣味、趣向の負担から外れたいと思います。私たちの目標は、完全な透明性をアーカイブして完全に消滅させることです。

私たちは自分自身を完全に表現するまでは止まりません。 私たちがすべてを言うまで、これ以上言うことが無くなるまで。

下記は過去の別注コートの製作風景動画とアイテム画像です。

[ THE WORLD IS FLAT AGAIN ]

[ NO , MAY YOU FIND YOUR WAR ]

[ I WISH YOU WEREN'T HERE , NOTHING CHANGES ]

続いて、20周年記念TEEシャツのご紹介です。アートワークをモノトーンにし後身頃へ配置、シルエットはインラインに存在しないビッグシルエットにアップデートしています。TIGRANのホームであるモスクワ製です。

前身頃左胸には 「 NO 」 と 「 20XX 」 をプリント。 「 NO 」 に関しては、コラボレーションコートの前身頃に描かれた 「 X 」 と同義ですのでコートの詳細部分をご覧くださいませ。

「 NO 」 の後ろの®レジスターマーク ( 登録商標マーク ) を反転させているのもポイントです。本来の 「 登録された商標 」 という限定的な意味を逆にする事で皆に当てはまる、皆それぞれが意見やメッセージを発信すべきという様な意味合いを込めています。

後身頃にはテーマである 「 THE END OF HISTORY 」 と、「 HIGH QUALITY PRODUCT 」 をプリント。このグラフィックはコレクションのインラインに存在していましたが別注仕様としてモノトーンにしております。

以前、同グラフィックに関しましてインスタグラム上で当店なりの独自解釈をアップさせて頂きましたが再度記載いたします。

" THE END OF HISTORY " ですがこのワードに関してはTIGRANが11ヶ月以上も前にコレクションを作成しているので決して現在の世界情勢を表したものではない点はご理解ください。もっと広く深い視野での言葉です。

ピラミッド、月と思われる惑星。これらは一つの例としてアートワークに盛り込んでいます。これらは一体いつからあって誰が何のために作ったのか、、、さらに言えば、私たち人間は? 地球は? どこから来たのか? 深く考えていくと宇宙の存在を考える事に辿り着くのではないでしょうか。

決してオカルト話ではなく現在の日常だけがこの世界の全てではないという事なのかもしれません。そして自然発生的ではなく誰かに作られた世界だという事に気付く事ができるでしょう。

また、こういった例を挙げる事で皆それぞれにルーツを考えるきっかけを与え、これまでの古い考え方を終わらせる事を意図し未来に繋げる為に " THE END OF HISTORY " というワードをチョイスしたのではないでしょうか。ですのでポジティブなワードであってネガティブなものではありません。

次に " HIGH QUALITY PRODUCT " ですが、一見いつものTIGRANの皮肉を込めた言葉遊びかと思いきや、私達の知らない高度な文明の存在を意味しているのだとしたならば、、、と分析します。

" THE END OF HISTORY " に関してTIGRAN自身の解釈および説明は本人が語っている動画の下に記載致しておりますので、ご確認くださいませ。

ABOUT TIGRAN AVETISYAN・・・

アンチ精神をベースに時代が変わっても不変のメッセージをウエアを通して伝えるロシアンブランド。

TIGRAN AVETISYANはモスクワ出身で、ロンドンのセントラル・セント・マーチンスを2012年に卒業。同校内では数人しか開催する事が許されない卒業コレクションでLVMH のスポンサー賞を獲得致しました。

あるシーズンにおいて、何かに対するアンチや皮肉の比喩などを盛り込みコレクションテーマとしました、という事ではなく彼は常に軸にアンチが存在しウエアを通してメッセージを発信し続けています。その姿はまるで活動家のようです。試行錯誤しながらファッションを通じ自身の考えを発信しメッセージを伝えたいと戦い続けている姿は非常に美しくそしてリアルです。故にTIGRAN AVETISYANの作るウエアは信じられるのです。

KIKO KOSTADINOVとは互いに親交 ( 互いにセントラル・セント・マーチンス卒業。TIGRANがKIKOの二個上の先輩にあたります ) があります。TIGRANはARTやメッセージを通じて心の底のマグマをストレートにウエアに落とし込む表現方法、KIKOは服を纏った時に生まれる空間を機能を考えながらデザインしているパターンワーク特徴の手法と、表現方法こそ全く異なりますが共にアンチ精神が存在し、コントロールされ意図して作られた現在のファッション界のメインストリームに対抗する旗手として両名共に注目すべき存在です。

現状を単に批判したり嘆いたりする事は簡単です。TIGRANはそこで終わらせず、危険な状態である事に気付いて欲しいそして明るい未来となれるように皆で意識を変化させていきましょうという前向きなメッセージを込めています。新しい事を創り出すには既成のものをポジティブな意味で再考・破壊しなければ新たな価値観は生まれないという、まさにVANDALISM的発想を持ったデザイナーと言えるのではないでしょうか。