2023年秋冬よりELIMINATORのセレクトに加えたT.T ( TAIGA TAKAHASHI ) は、ニューヨークと京都に拠点を置くユニセックスブランドです。創業者でありデザイナーの髙橋大雅氏は、ファッションを学ぶ為に高校からロンドンへ渡り、2017年Central Saint Martinsを卒業。早い年齢から海外へ出て経験を積み、最前線で活躍するファッションデザイナーやブランドでのインターンを経て、自身がブランドを始めるにあたり、新しいデザインとは何か?現代において意味のある進化はどのように成し遂げられるのか?と、未来を模索したそうです。そして時間を掛けて思考を巡らせた結果、過去を見つめ直す事こそが必要だと気付いた事からブランドコンセプトを確立させました。「過去の遺物を蘇らせる事で、未来の考古物を発掘する」。昔からヴィンテージウエアの収集をしていた大雅氏は考古学者のごとく、約100年前の膨大な衣服やアクセサリーのアーカイブを辿り、生地や仕様を解析していきました。なぜこの衣服は時の試練に耐え、今なお存在し、輝きを放っているのか?発掘したタイムレスなデザインを、過去から受け継いだ職人技を駆使し、現代へと甦らせる事が自身の使命だと思ったのでしょう。「僕はデザイナーだが、デザインはしない」。という言葉を残している通り、1900年初頭の衣服を忠実に再現し、そして100年先へ継承させる服作りがT.Tの特徴と言えます。また、海外へ出て再認識させられた点が自分が日本人であるという事。古くから大切にされてきた日本人としての「侘び寂び」の精神は、経年変化によって変わる衣服の表情を美しいと感じられる心に通じるものがある。若干20代で、その精神性に気付いたきっかけは洋服だけに興味を抱いていたわけではなく、若くしてアートの世界にも没頭していたからではないでしょうか。物作りのプロセス、そして表現する事に対する執念みたいなものが彼を形成していったのだと想像できます。本アイテムのリファレンスには1920年代のデニムジャケットを用いています。特にリーバイスを真似たデニムを作っていたストア系と呼ばれるJ.C.Pennyを大雅氏は好んでいました。J.C.Pennyは試行錯誤して徐々にオリジナリティを持つデザインとなり、その意思を引き継ぐような想いでT.Tのオリジナルデニムは完成しています。肩傾斜のない平面的な作りの本アイテムは、直線的なシルエットを特徴とし、また着丈の短さも個性の一つと言えますね。尚、生地は米国産オーガニックコットンを使用し、岡山にある旧式力織機で織り上げた3/1左綾のライトオンスデニム。仕上げには防縮加工が施されております。特注のボタンは全て鉄製でメッキ加工を施していない為、時間が経てば錆びるという楽しみを加えています。その為、白いTシャツ等と合わせると錆が移染しますので、この点ご理解いただける方にご購入いただければと思います。この他、商品詳細は是非product infoからご覧ください。
T.T TAIGA TAKAHASHI公式通販 ティーティー タイガ タカハシ正規取扱店
マネキン着用サイズ : 38
マネキンサイズ
身長182cm、バスト90cm、ウエスト76cm、ヒップ88cm、肩巾53cm、袖丈63cm、頭回り59cm
T.T TAIGA TAKAHASHIのAW23コレクションのご紹介です。
■デザイナー髙橋大雅 ( タカハシ・タイガ ) とは
1995年生まれ。神戸市で育ち2010年15歳で単身渡英。ロンドン国際芸術学校を卒業後、13年にセントラル・セント・マーチンズのBAウィメンズウエア学科に進学。在学中にアントワープやロンドンのブランドで経験を積み、17年に同校卒業後、自身の名を冠したブランド“ タイガ タカハシ “ をニューヨークで立ち上げました。当初はレディースでスタートし、2021年秋冬シーズンにメンズを始動。同年、日本に本格上陸。2021年12月4日に京都祇園に総合芸術空間 “ T.T “ をオープン。2022年4月9日逝去。23AWよりブランド名を “ T.T “ へと変更。髙橋大雅の遺志は生前彼を支えてきたチームの想いに変わり、今もそしてこれから先も脈々と受け継がれていきます。
※スタートの場所をニューヨークにした理由
髙橋大雅の将来的ビジョンの中には服だけでなく現代芸術があった為、アーティストやギャラリーがあふれている現代美術の街に身を置く必然性を感じた為です。
■総合芸術空間T.Tとは
総合芸術空間T.Tは2021年12月4日オープン。日本の美を再解釈した衣服・建築・茶室・彫刻など髙橋の芸術作品からなり、自身の哲学や美学を伝える場となっています。総合芸術空間T.Tは花見小路の裏通りに位置し総面積は約50平方メートル。2フロア構成で1階ではコレクションやアート作品を展示販売し、2階には予約制の茶室「祇園茶寮然美」を開設。建物自体は大正初期の1904年頃に建てられた町屋に古材 ( 日本各地から出た神社の廃材 ) を持ち込んで作り直し総改築したもの。屋根を支える大黒柱を移動させるなど、一切の妥協なく髙橋大雅の思い描く「総合芸術空間」を作り上げています。
1階入り口には、髙橋大雅がイサム・ノグチ日本財団理事長で石彫家の故・和泉正敏と共に玄武岩で制作した彫刻作品「無限門」を展示。茶室に入る前に心身を清める為、石や岩などをくりぬいた手水鉢「つくばい」をイメージしています。入口左手奥にはウエアコレクションが並ぶブティックを開設。また同スペースには、目に見えない時間の概念を考古学の観点から彫刻により視覚化した作品「無限円」を配置。ブティックスペース奥には、枯山水をイメージした庭園を設置。枯山水と同じように、中と外の境界を曖昧にするため床を外まで延長した設計にしています。庭園横には茶室をイメージしたフィッティングルームが設けられています。1階最深部には壁一面が白で塗られたギャラリースペースを開設。オープン時には終わりがないものを表現したという高橋による彫刻作品「無限塔」を展示。石の階段を上がった先にある2階フロアでは「茶の湯」の世界を高橋の総合芸術の一部として表現した予約制の茶室「然美(さび)」を展開。
以下、生前の髙橋大雅のインタビューより。
「ここではセレクトショップのようなことをするつもりはないですし、他のブランドを扱うとか、古着を売るつもりもありません。唯一、自分で集めた古美術品を置くことはあるかもしれません。自分のフィルターが通ったものしか置きたくないんです。服のデザインに関しても自分がゼロから生み出すことに興味はなく、いままで数千着収集した70年から100年以上前の衣服を考古学の観点で研究し、コレクションを発表しています。そんな中で衣服は記憶を辿る装置だと結論づけました。社会情勢によって人々の装いは激しく左右されますが、衣服がタイムカプセルのように時間に耐えて生き残ることで、過去の記憶を追体験し、失われつつある文化や伝統を閉じ込めることができると考えています」。
■ファッションブランドT.T とは
T.Tはニューヨークと京都に拠点を置くユニセックスブランドです。ブランドコンセプトは「過去の遺物を蘇らせることで、未来の考古物を発掘する」。デザイナー髙橋大雅自身が十代から蒐集した衣服は数千着以上であり、そのほとんどが大量生産以前の1920〜50年中心のアメリカンヴィンテージです。ものづくりの本当の価値は、歴史の中にすでに存在しているのではないか。そんな思いを抱き、100年以上時間をサバイブした衣服の布地や縫製、ディテールなどを考古学の観点から研究し、新たな再解釈を加えて現代に蘇らせます。衣服を化石やタイムカプセルに見立て、失われつつある、織り、染め、縫製など日本古来の伝統技術や天然素材を使い、100年後の未来にまで残る「時代を超越した衣服作り」を目指しています。T.Tのものづくりにも生かされている日本が誇る職人の技です。1000年以上続く自然染色の手業や現存する数少ない旧式力織機など日本の伝統技術を用い、その技を受け継ぐ職人たちとの対話を重ねて、ものづくりを追求しています。
■ヴィンテージ復刻ブランドとの決定的違いについて
「100年前の服が自分の手元にあるのは、その服が100年間生き残ったという証拠です。そして、この服がどうやってつくられているかを理解すれば、自分がつくる服も100年後に残るのではないだろうか。時間をサバイブするような服をつくりたいのです」。と髙橋大雅が語っているように、”時間軸を意識したデザインがしたい ”という、コンセプチュアルな考え方が他にはない思想です。
こういった考えに至るきっかけとして、海外ではファッションが芸術のカテゴリで見られているという事実を知った事でした。「着用するもの」という領域を超えて、服の成り立ちや歴史、社会との連動性といった視点など、芸術という文脈で捉えられている点に対し、最初のコンセプトをどう作るかという部分の重要性を感じたようです。
長い海外生活の中で自然と日本の感性、日本人としてのアイデンティティー ( 双方の良い点 ) に改めて気付かされた髙橋大雅。自身が好んでいた100年以上の時を経ても尚現存し時間を経過した故の美しさのあるヴィンテージウエアが、日本の美意識の一つ「侘び寂び」と自身の中でリンクしていきます。
さらに単なるヴィンテージウエアの再現では現代の日常にはそぐわない点もあります。昔はこのディテールが時代的に重宝されたけれども、現代生活では必要性が少ない、不要。といった風に。髙橋大雅は物の本質的な部分は残しつつ、自分が着たい、皆がデイリーに着る事の出来る服を製作しています。コンセプトとプロダクト、両方の視点を兼ね備えたものづくりです。
T.Tのプロダクトは、100年以上前の先人たちの衣服製作に対しての苦悩やひらめき、根拠。そこに髙橋大雅のエッセンスと日本の伝統技術を加えて衣服に閉じ込められています。
●本アイテムは100%アメリカ産オーガニックコットンのデニム生地を用い製作されています。
●岡山にある旧式力織機で織り上げた左綾のライトオンスデニムです。現代の織機の10〜20分の1程度の速度でしか織る事の出来ないシャトル織機でゆっくりと織り上げており、綿糸本来の凹凸が残り、雰囲気のあるムラ感が出ています。
●経糸は硫化染料をミックスしたインディゴで風化したようなグリーンキャストな色味が特徴。緯糸は時間経過を感じさせる黄ばんだ生成りに染めた特注のネップ糸です。この二種の糸を使用する事で独自の濃くて深みのあるインディゴブルーに仕上げています。白耳のセルヴィッチデニムとなっており、白耳は前身返しやカフス裏などに配しています。
●前身頃のプリーツディテール、左の前身頃ウエスト部分のみパッチポケット、後身頃腰あたりのバックシンチと言われるアジャスター、これらが20年代の特徴です。
●サンフォライズ ( 防縮加工 ) は施されてます。
●特注のボタンやシンチバックは全て鉄製で、あえて表面にメッキ加工を施していない為、時間経過によって錆びていきます。
●シグネチャーである革パッチはカウレザー。奄美大島で1000年以上続く手法である泥染めにて染色しています。
20231103
FABRIC : Cotton100%
COLOR : Camel
COUNTRY OF ORIGIN : Japan